西明寺

今日ある会社を訪れた。新幹線米原で降り、その会社のバスで約1時間かけて到着である。待ち時間等を加えると凄く長旅であった。
そのバスに乗っている時に西明寺の看板を見かけた。同名の別物かと思っていた。
しかし帰りには渋滞回避の為、そのバスが名神八日市インターに入った。いよいよ怪しい。
帰宅後レポートを纏め、ついでに地図検索。その為その会社の所在地を見たら滋賀県日野町である。もう間違いない。
そう綿向山麓にある古刹【西明寺】そのものであった。
西明寺鈴鹿スカイラインが無料化された早々訪れた事がある。綿向山のついでである。
綿向山も半端な山である。水無山を絡めても歩行時間が短く食い足りんのである。おまけにあの辺りは攻撃的なヒルの巣窟で、ぬかるんだ道の真ん中で直立し頭を8の字に振るヒルダンス。ひとしきり踊った後はぬかるみの中でのたうちまくり、疲れるとまた直立してヒルダンス。何十匹ものヒルのダンスは壮観である。と同時に行く気も失せる景色でもある。
その西明寺まで家から車で2時間半程。多めに見ても3時間あれば充分である。
なんだ、新幹線まで使ってえらく遠回りしたもんだ。
考えてみると車って本当に便利である。公共交通機関を使って鈴鹿の通り抜けをするとなると帰りに新幹線は必須なのである。
もう35年も経つだろうか。御池岳経由の通り抜けをした時も途中で在来線から新幹線に乗り換えたのだった。
その頃鞍掛峠にはまだ道路が無く、トンネルの掘削工事が続いていた頃だった。
早朝に御池の雪原を発ち大君ヶ畑へ下ったもののバスの時間待ち、彦根では列車の時間待ちで米原から新幹線に乗り換えても自宅へは夕方着。本当に不便な所だった。

西明寺、名高い古刹ではあるがその割りに小さなお寺である。ばかでかいお寺よりこれくらいのお寺の方が参拝していても落ち着く。
小さいながらも地域の人達の信仰を集め地域の人達との繋がりのなかで今日に至っている生のお寺である。京の都の天上人としか関わりのないお寺とは違う。近所のいたずらっ子がつけた傷、風雨曝され朽ちかけの土塀、これらが物語る地域檀家との関わりは生きた信仰そのものである。でありながら由緒正しき鎌倉建築。国宝に指定されても何事もなかったかのようにいたずらっ子は傷を付け続けている。その傷も含めて国宝と呼びたいものだ。