10月10日前後

数年前までは10月10日は体育の日で休日だった。同時に眼の日でもある。
「日本人は働きすぎだから土日曜と纏めて連休にしましょう。」って事で、必ずしも10日が休日ではなくなってしまった。今では日本人は働かなさすぎのようだが。お役人様は暇人ばかりである。やることが無いからこんな馬鹿なことを思いつくのだろう。


前置きはさておき、この時期は紅葉シーズンでもある。丁度標高1500mから2000m付近がピークとなる時期である。と同時に予期せぬ大雪に見舞われる事も珍しくない時期である。秋山を経験している人には極一般的な常識である。昨日の紅葉狩りHikeを途中で引き揚げたのも、この予備知識が頭の片隅にあった結果かもしれない。(御岳山頂小屋はまだ営業しているので逃げ込み可能であるが、そんな恰好悪い事は私のプライドが許さない。)
そして今朝の新聞には、白馬と穂高での遭難の記事。白馬ではガイド以外は全てお年寄りの女性ばかりとか。そして既に2名の死亡が確認されている。ビバークの2名もおそらく…。疲労の度合いにもよるが防寒具なしでこの時期のビバークは難しい。ツェルトなんて風雪の直撃が避けられるだけで隙間風だらけである。雪洞なぞ掘れる状況ではないし。おそらくビバーク組は疲労困憊の上の最初の脱落者だろう。
新聞記事ではガイドの判断が甘かったように記されている。確かにそうも言えるが全面的にガイドだけ悪者にして済む事だろうか。おそらく事前に個人装備として防寒具は指定してあった筈である。全員防寒具なしが解かったのはかなり登りきった後の疲労が出始めた頃ではないか? たった一枚とは言えその有無が生死を分けるのである。「小屋にさえ辿り着けばなんとかなる。」と考えて下山をためらったのかもしれない。この時期まだ営業小屋があるって事も媚薬のようなものである。真冬なら装備の不足が判った時点でためらわず下山に踏み切った筈である。
ガイドと顧客である登山者との間のコミュニケーションってどう図っているのでしょうね。初対面同士がいきなり入山口でおちあうなんて事は無いですよね。相手の力量も解からずよく同行できるものです。私なぞ怖くてそんな事できません。
どの山を登った事があるかをヒアリングして目安としているのでしょうか? でも連れて行ってもらっただけの山行なんて経験の内に入らないと思うのですが…。
岩登りや雪上技術も大事なファクターですが、山での生活術も同様に大切なファクターです。山小屋にしか泊まった事の無い人、用意されたテントにしか泊った事の無い人に山での生活術が身に着いているとは思えません。これが身に着いているかどうかなんて一緒に行って始めて解かる事です。山での生活術の無い人なんて赤子以上に厄介です。
かといって商売としてガイドをやっている限りそこまでの資格審査なんてやっていられないのが現実でしょう。また顧客サービスの為、必要以上のリスクも背負い込まざるを得ないのでしょう。その結果自身が命を落としたり顧客を死なせてしまったり。
今回のガイドさんも、この先一生この十字架を背負って生きていかなければなりません。そんな人を非難する事なぞできないと思うのですが…。