ネゴシエーション

家には子供が2人しかいないので、どうしても比べてしまいます。
同じ兄弟でありながらそれぞれが個性的な考え方を持っています。良い悪いとは別次元で、見ていても興味深いものです。
兄弟が多ければよりいっそう面白い事だろうと思います。
こちらと同じように、子供達も我々両親を興味深く見ているのだろうとも思います。


今風の若い親達の中には妙にものわかりが良く、なんでもかでも子供の言いなりになっている人達もいるようです。
私の場合はそれらの方々と違い、一応気難しい頑固親爺を演じています。家庭なんてただでさえ無菌室に近い状態です。無菌室で育った子供をいきなり黴菌だらけの世間に放り出す事なんてできません。外界に慣らす為にもものわかりの悪い、厄介者であり続けているのです。
子供達は何をするにも頑固親爺の承諾を得なければなりません。その為には、根回し、説得、交渉が必要になります。世の中に出たとき最も重要な能力です。知らず知らずの内にでも身に付けておいて貰いたい。ただ単にわがままを言っている訳でなく、真意はここにあるのです。
子供も馬鹿ではありません。外での憂さを晴らす為にわがままを言っていては直ぐ見破られてしまいます。
また、なんでもかでもYesと言っていては子供の為になりません。状況に応じて障壁となるハードルの高さを調整すれば良いのです。
そのハードルへの対応の仕方に子供達の個性が現れます。見ているとこちらの想像した方法どおりにネゴってきます。それがまた面白く、時々軽い意地悪をしてやる事もあります。


T哉の場合、ハードルが高いと親に頼るのを止め自分でなんとかしようとします。目標達成の為にはアプローチの方法はいくらでもあります。自分で出来る事が増えるに従い親を頼らなくなってしまい、心強くもあり寂しくもあり。ちょっと甘えれば楽が出来るのに自分から苦難を背負い込んでいるようで可哀想になってしまいます。それでも本人にとっては自身の独立性の方が重要なのでしょう。
S司の場合、自分の非力さや能力の低さを演出し「なんとかしてあげたい。」と思う親の弱点を突いてきます。後で「してやられたかな?」と思うのですが「まあ良いか。」となり騙された不快感はありません。じっと見ていると結構クレバーなのですが、そう感じさせない所がS司のEQの高さかもしれません。いつのまにこんなに世渡り上手になったのだろう。