バイク

T哉がバイクで帰ってきた。友人から譲ってもらったそうである。
以前から欲しいと言っていたし免許も取った。そして数日前にはT哉宛に保険会社から書類が来ていた。どうやらそれがバイクの保険の証券だったらしい。
Sさん家のあきちゃん(T哉より1学年下のお嬢様)が大型免許を取りバイク通学している事に影響されたのかもしれない。
普通の男の子なら高校くらいで目覚めるのだろうが、家の子にはトラウマがあったのだろう。しかしそれもやっと克服できたようだ。


家の子供達は小学校の頃から体操教室に通っていた。そして子供達を指導してくれていたのはM先生。
小学6年か中学1年だったか・・・、そのM先生が突然亡くなったのである。バイクの事故で。
子供達には相当なショックだったようだ。身近で死を感じた初めての出来事だったのだ。以来車には興味を示してもバイクには全く無関心だった。そして「バイクには乗らない。」と公言もしていた。
時間の流れと共に記憶は薄れて行くものである。哀しい事であると同時に逞しい事でもある。
お世話になったM先生の記憶は残っているが、バイク=憎むべきものというこだわりは時と共に消えて行くべきである。どんなものにも危険というリスクはついてまわる。何がどう危険なのかリスクを管理しながら危険と付き合って行けば良いのである。そこに面白味も涌いてくるのである。
子供ってこうやって成長していくんだなあ。いずれは親を追越してゆく。もうとっくに追越されていたりして・・・。