腹痛

一週間程前から時々みぞおちの辺りが痛んでいた。
鈍痛で息苦しいくらいの時もある。素人判断では胃酸過多となるのだろうが、こんな事今まで経験した事がない。
元々胃腸は丈夫な方である。食い過ぎても翌日にはケロッと直っている。何かに当たった時でも1日絶食すればケロッと直っていた。そんな人間が胃酸過多?ちょっと考えられない。
あまり長引くので医者の診察を受けてきた。
「みぞおちの辺りが痛むんです。」
「いつごろから?」
「1週間くらい前からです。」
「どんな痛みです?」
「鈍痛です。キリキリという痛みではありません。」
「空腹時ですか?」
「そうですね、食べた後は楽になります。」
「潰瘍とか胃炎でしょうね。」
「胃癌って事はないですよね。」
「癌の悪い所は痛みがないところです。痛みがあればこうやって治療に来るでしょ。」
まあ、解っていた事だが万一って事で確認しただけだが。
解っていても、私には癌になる素質がある。幸いあの時は発見されやすい部位だった事、かみさんの使っていた病理学の辞書が手元にあり自分で調べられた事、そして良い先生(医師)に巡り遭えた事などで死なずに済んだ。あれから20年以上経ちいまだにのうのうと生きさらばえ、周りに老害を撒き散らしている。
「潰瘍になるほどストレスは無いんですけどねえ。」
「寒いのも大きなストレスです。」
え〜、そうなのか。
若い頃はどちらかというと寒さに強い方だった。ところが近頃は寒いのが厭で仕方が無い。
寒いのを嫌うようになったのは身体が不調になるのを予見してそうならないように意識に働きかけていたのか。ふーむ、人間の身体っちゅうのはよく出来ているもんじゃわい。
「今日は注射は無いですよね。」
「お望みならしましょうか?」
「いえ、けっこうです。」
からかいのつもりで言ったら反対にやり返されてしまった。
今日は半ケツ注射は免れた。ああ良かった。ここへ来て注射されなかったのは初めての事だ。
処方箋をもらい薬局へ。
凄い量の薬である。Informed consentのためか通り一遍の説明を受ける。今回は薬の説明のプリントは無い。紙の無駄と思い止めたのかな。
「これだけでお腹がふくれちゃいますね。」
「食後ですからお腹がふくれた後になります。」
お姉さんの生真面目さに吹きだしてしまう。初々しくてカワユイ。
「別腹です。」とでも言ってくれるかと思ったのに。


原因が何なのかは判然としないが、最大の要因はやはり老化か。
丈夫だ丈夫だと思っていた胃が、生まれて初めて反旗を翻した。いずれ胃だけでなくあちこちが同調して反乱を起こすのだろう。鞭だけで無理強いをしてきた身体に、これからは飴で懐柔を図らねばならぬのか。
年寄りってやーね。


帰宅後寒さ対策をやっています。ケチっていた灯油も大判振舞でストーブガンガン。足元の保温の為、象足も履いています。
他所の人が見たら笑っちゃうでしょうね、きっと。