三丁目の夕日

西岸良平氏が漫画誌ビッグコミックオリジナルに連載中の作品です。
同時期に漫画アクションにも【鎌倉物語】を連載していましたが、こちらの方は集英社の経営難から休刊となって久しい。
いずれも生活に疲れたオヤジ族をほっとさせてくれる良い作品です。
三丁目の夕日】は敗戦の名残がまだ色濃い頃、子供達の為に必死に働き続けていた親達とその子供達の暮らしをモチーフとしています。丁度私自身がその子供だった頃の時代設定です。
貧しさの為の一家離散を身近で見つめ、自らも夜逃げの経験者です。
この漫画を見ながら当時を思い出し、胸を締め付けられたり甘酸っぱさと安堵の気持ちに抱かれたり…。
この【三丁目の夕日】が映画化されました。「思い入れが強すぎて失望するのではないか?」と躊躇していましたが、見た人の評価は意外に高い。勧められるまま昨夜観てきました。
「全くの別物として、心をニュートラルにして観よう。」なぞと肩肘張る必要もなく楽しく観る事が出来ました。時にはマンガチックな映像表現につい吹き出してしまったり。
この頃のお父さん、お母さん達のおかげで日本の驚異的な復興があったのです。この復興劇は全世界でも類を見ないものだそうです。米国が脅威を抱きジャパンバッシングに走ったり、欧州ではエコノミック・アニマルなぞと誹謗したり、マハティールさんのように「ルック イースト」と賛辞してくれたり…。
その恩恵の上であぐらをかき、贅沢をあたりまえと思い込んでしまった結果未だにデフレトンネルから抜け出せないでいます。ひとりひとりがあの頃のひたむきさを思い出し、怖れずに汗にまみれる事が大事です。
21:40 上映開始。終われば、0時過ぎ。周りは若い人ばかり。この映画、若い人達の目にはどう映ったのでしょう。なにかひとつでも心にコツンと残るものがあれば、それが優しさに繋がって行くことでしょう。
貧しくとも心豊かだったあの頃、あの頃の心の豊かさをこれら若い世代の人達が次の世代へと繋いでくれる事でしょう。