我家の過疎化

T哉は既に入寮を済ませた。と言っても車でなら近いので毎日家へ帰ってきている。
明日は入学式でスーツで行くとか言っている。そして明日の夜からは本当に寮で過ごすそうだ。
S司は東京、T哉も寮。ジジババしかいない家なんて想像するだけで「ぞっ」とする。まるで年寄りだけが取り残された過疎地の寒村じゃないか。
「土日はご飯を食べに帰って来なさいよ。」気丈なかみさんでさえこんな事を言うなんて余程寂しいのだろう。しまった!もうひとりくらい女の子でも作っておくべきだった。
家の近くでやっている夜のバイトも近々辞めて学校近くに切り替えるらしい。そうなるといよいよ家と疎遠になってしまう。近場は省エネのため車は使わず自転車を使うそうだ。その為永い間ほったらかしだった自転車のパンク修理も済ませ寮に運んだようだ。
来週土日のいずれかがハチ公の納車だとか。という事は来週は必ず帰ってくるという事か。


もうすぐゴールデンウイーク。ハチ公の試乗会を兼ねてS司に逢いに皆で出かけるか。でもかみさんは「狭いからハチ公なんかで行きたくない。」というだろうな。Auとハチ公の2台で出かけるほど経済的余裕はないし…。


子供の成長なんて本当にあっというまだった。お風呂に入れたりオムツを替えたりがつい昨日の事のよう。二人だけでてんてこまいだったが過ぎてしまえば別にどうって事はない。懐かしさしか思い浮かばない。
このまま二人とも家を出たままになってしまうのだろうか。それならこんな家売り払ってまたマンションにでも引っ越すか。狭かった家がやけに広々と感じる。