ストック

山歩きを再開してからもう5年以上経っただろうか。
きっかけは子供が高校に入り、あまり遊んでくれなくなってしまったからだったような…。
そのうちデジカメを買ってもらいそれをメモ代わりにHPを作り始めた。
当時のTop pageの謳い文句は、

子供はお受験。

カミサンはそのサポート。

私は蚊帳の外。



云々…


というものだったと思う。
始めた頃は凄いカルチャーショックというかジェネレーションギャップというべきか、筆舌に尽くしがたい違和感を覚えたものだった。


早い話、山がジジババに独占されていたのだった。
20年ぶりの御在所から帰還し、かみさんに報告。
「山にはジジババしかおらんかった。」
「あんたもそのひとりでしょ。」
ショックだった。言われればそのとおり。自分だけはいつまでも若い頃のままと思い込んでいたのだ。
違和感を感じつつも回を重ねるに従い、徐々に受け入れられるようになっていった。
謙虚な若者達と違い、傲慢さ横柄さが癇にさわる人達のなんと多い事か。傍で大声で喚かれると非常に不愉快だ。
これ見よがしに大声で自慢する人、他人への気配りや遠慮など全く無い人…。
私生活でも同じなのだろうか。こんな人達だから周りの人から疎まれ実生活からの逃避として山へ来ているのではないか…などとつい悪い方へ考えてしまう事も多かった。
それが最近では、「普段と違う環境にきっと気分が高揚し、ただはしゃいでいるだけだろう。」と良い方にとる事ができるようになってきた。


しかし傍目にみていても、やはり若者の爽やかさと中高年の重苦しさは異質である。
当たっているかどうか解らないが、その異質さの原因は今流行りのストックにあるような気がする。
膝への衝撃を和らげるとかバランスが良くなるだとか効能がもてはやされ、またLekiなどのブランド品が横行し、小金持ちの中高年のファッションと自己顕示の道具と化している。
ザックはミレー、靴は***、ウエアは***、雨具は*** etc.etc.
もっともこれは私自身のやっかみのせいだとも言えるのだが。
(因みに私のウエアはユニクロ製品を流用してます。)
長距離の海外トレッキングなどは別として、トレーニングの場(と思っているのは私だけかも知れませんが)である鈴鹿なぞにストックなんて必要なんですかね?
いや北アなどの縦走コースでも必要なんですかね?
「ストックに頼らなきゃ歩けないのなら山歩きなんて止めたら?」と言いたくなります。
「使うと楽だから。」とおっしゃる方々には「楽したいのなら家で寝てれば?」と言いたくなります。
一部のエコロジストの方々からストックによる自然破壊が指摘されたりしています。非難されても未だ楽したいのですか?ファッションにこだわりたいのですか?ブランドを自慢したいのですか?
山は楽しいものです。景色に感動するのも、達成感を味わうのも、己に打克つのも楽しいものです。
それは、なんらかのハードルを越えるからこそ楽しいのだと思います。
楽して景色だけ楽しみたいのなら家で写真を見ていれば良いのです。
楽する事ばかり考えている人って凄く損していると思います。ハードルを越えた時に味わう景色は達成感も相俟って本当に感動します。


ストックには楽ちんである反面大きなデメリットも有ると思います。
ストック使用の方々のバランスの悪い事!
ストックでバランスがよくなる反面自分の脚力や足裏感覚が衰えている事に気付いていないようです。
岩登りでは足先に全神経を集中させます。慣れると足を置いた瞬間滑るかどうか解ります。そのトレーニングにはストックなど邪魔者でしかありません。
岩登りをしている人達は多分ストックなど使っていないと思います。
ただでさえ高年齢というハンディを負っているのに、それにわをかけてバランス感覚を衰えさせる道具を使うなんて! 知らないって恐ろしい事ですね。
健康管理にHikingと思っているのなら自分の身体を鍛える為にも是非ストック無しで山行していただきたいと思います。


偏見だと言われればそれまでですが、杖をついて歩いている姿っていかにもお年寄りに見えます。
杖に頼らずはつらつと歩いている姿っていかにも若々しく見えます。
こんな所が私の感じた違和感の原因だったのかもしれません。